新しいオフィスと学び舎と。
私が大学を卒業してから渡辺隆建築事務所を設立するまで約11年間勤務した「株式会社 竹下一級建築士事務所」が、今年2月に移転をしました。
新たにオフィスを構えたのは浜松市田町のファーストビルの4,5階。
ゆとりのある打ち合わせスペースやチームごとにブロック分けされた設計室などオープンで快適なオフィス空間!スタッフの皆さんがより生き生きと活動されている様がなんだかとても嬉しくって、11年間お世話になった学び舎(旧オフィス)へのノスタルジーを忘れてしまうほどでした。
今回の移転は、創業時(1934年)から38年間拠点としていた田町へ戻るもので、「原点回帰」と、中心街の空きスペースの活用や社員の公共交通機関の利用、社用車のカーシェアシステムの利用など「新たな取り組み」が共存したものだそう。この環境で新たに生み出される建築が楽しみです。
とはいえ、やっぱり気になる旧オフィス。。。その後、当時の通勤ルートを走って新橋へ。1972年から沢山の社員を受け入れ建築を生み出してきたオフィスは今も端正な佇まい。オーバーハングした2階、シンプルな連窓サッシ、地面から浮いた犬走り、味わい深いタイルやレンガなどの素材・・・じっくりじっくり味わってきました。
もしかしたら、、、45年前に先輩方が作り上げたこの建築にこんなにしっかり向き合ったのはこの日が初めてだったかもしれません(先輩方、スミマセン・・・)。
解体・新築ではなく、田町への移転という選択がなされたことによって、この建築はまだここにあります。今後よい保存や利用の道が見つかるとよいのですけれど。
本日の音楽: RADIOHEAD [ Kid A ] 03 The National Anthem
竹下時代は、夜の7時を過ぎて社長が帰ると、そこからが音楽タイム(私が勝手にそうしていただけですけれど(笑))。イヤホンで一人で聴くのではなくって、CD・カセットテープがプレイできるラジカセで、残業しているみんなに無理矢理聴かせるという(笑)。年齢層が幅広いので、サザンオールスターズとか、流行りのポップミュージックとか、気を遣いながらプレイしていたのですけれど、、、好きなバンドの新譜が発売になると、休憩時間に近くのCDショップで買ってきて、事務所で初聴きしたりして。この「Kid A」もその中の一枚です。前作「OK COMPUTER 」のような音を想像していた私自身もシゴトしながらのけ反ったけれど、周りのみんなからも「なんじゃこりゃ」と不評だったなぁ(笑)。疲れ切った極限状態の深夜の職場には圧倒的に向かない一枚でした(笑)。でもでも、今でもよく聴く最高にカッコイイアルバムなんです。
会長の目の前で。
そして、、、
竹下一級建築士事務所時代の後輩、佐野君が代表取締役を務める「株式会社SN Design Architects」が手掛けた「鴨江の家」オープンハウスへも。
彼は事務所を設立してまだ約3年ですけれど、、、
住宅建築を順調に受注しつつ、1年目に事務所を法人化して、現在では浜松市の公共案件や法人の保育所やこども園などの設計も同時に手掛けるなど、どんどん活躍の場を広げています。
私を含め小さな設計事務所を主催する人間は経営者の感覚がどうも不足しがちなのですが(笑)、、、その経営の感覚をしっかり持った上でハイクオリティな建築を実現しているのは本当に凄いし、それこそがSN Designのオリジナリティだなぁと今回のオープンハウスで改めて。
ちなみに、、、この「鴨江の家」は、なんと竹下一級建築士事務所の会長の家の目の前!会長のキビシイ現場チェックをクリアして完成させた精神力にも感服(笑)。
本日の音楽: MUSE [ Origin of Symmetry ] 05 Plug in Baby
ひたすら過剰で一歩間違えたらクドくてカッコ悪くて、、、となりそうな、ギリギリのバランスでめちゃくちゃカッコイイ(と個人的に思っている)、MUSE。この曲はその代表のような。。。ギタープレイがツボ過ぎ!
磐田のスゴイ世代。
TYdo 高塚さんによる「中泉御殿の住宅(仮)」のオープンハウスへ。
浜松市南区立野町に建つ住宅。道路に面したポリカーボネートの波板による目隠し壁が印象的なシンプルな木造建築。間取りや納まり、素材や設備の選択、、、全てにおいて事務所のスタンダードが確立されていて、コストやクオリティをコントロールしきっている凄みを感じる建築でした。独立直後から変わらないスタンスで住宅建築に向き合っていることが本当によく伝わってきます。素敵。
この二人、高塚さんと森下さんは1979年、磐田生まれの同級生、
そして、、、
4月に「建築家のためのウェブ発信講義」という単著を出版する後藤さん(建築・アート・デザインの情報サイトarchitecturephoto.net や、建築プロのためのプロダクトブランドdifottを運営)も、実は、1979年、磐田生まれの同級生!
青木淳建築計画事務所を経てB1Dという設計事務所を主宰し活躍されている宮内さんだって、高塚さんや森下さんと同じ地元の高校を卒業した同級生!
他にも、、、
お会いしたことはないのですが、、、
藤本壮介建築設計事務所を経てKSAという設計事務所を主宰し活躍されている住谷さんもそうだとか。。。
地元磐田の凄すぎる世代・・・
本日の音楽: Golden Smog [ Down By the Old Mainstream ] 01 V
Jayhawks、Wilco、Soul Asylum、、、ゴールデンなメンバーによる覆面バンド。穏やかでポップな名曲が揃っています。
記念すべきファーストフルアルバム。
お付き合いのある建築家の方々のオープンハウスのお誘いが続いて、2018年は始まりから刺激が沢山です。。。
浜松にある事務所の周辺で高密度に建築の部分へアプローチしてきた彼らが、はじめて外壁から内部空間まで建築のほぼすべての部分に取り組んだリノベーションプロジェクトが完成したとのことで見学させていただきました。
「東貝塚の納屋」
モノ、新と旧、職人さん、お施主さん、、、全てに対して誠実に丁寧に熱量を持って向き合い、積み上げきったことがヒシヒシと伝わってくる建築でした。
質の高いシングルやミニアルバムを何枚も発表していたアーティストが、満を持して発表したファーストフルアルバムのような、瑞々しいやりきった感に共感。。。
このような建築を発注し所有するオーナさんが地元磐田にいるというのも本当に嬉しいし、勇気づけられます。
がんばろう。
今後、403architecture [dajiba]3人が「東貝塚の納屋」がどのような言葉で語っていくのかも楽しみです。
本日の音楽: oasis [ Definitely Maybe ] 03 Live Forever
大好きなファーストアルバム、沢山ありますけれど、まず挙げたいのは「oasis」。野望と自身に満ち溢れた熱量、バンドのメンバーのみによって作られたシンプルで瑞々しい音、、、先行シングルやライブによって作られた高い前評判を越える出来栄え、さらにそれを超える結果・・・。どれをとっても完璧すぎるファーストアルバム!